眼鏡の処方箋とコンタクトの箱を見比べて、「同じ目なのに、どうして度数が違うの?」と戸惑うことがあります。眼鏡とコンタクトは目からレンズまでの距離が違うため、必要な度数が異なる場合があります。近視では、眼鏡のほうが強い度数で処方されることが一般的です。ただし、必ず違う数値になるわけではありません。
選ぶときは、一方の数字をそのままもう一方に使わず、それぞれに合った度数を確かめるのが基本です。眼鏡を作るなら眼鏡用の測定、コンタクトを始めるなら眼科での検査・処方へ。この記事では、度数の違いをどう読み取るか、換算式で分かる範囲、併用するときに必要な確認を順に説明します。
- 目とレンズの距離による度数の違い
- 視力・球面度数・乱視度数の区別
- 距離12mmを仮定した換算式の目安と限界
- 実際の見え方と用途に合う度数の確認
眼鏡とコンタクトの度数が違う理由と数値の見方
目とレンズの距離が違うため、必要な度数も変わる

コンタクトは目の上に直接のせるので、角膜とレンズの間の距離はほぼゼロです。一方、眼鏡は角膜からレンズまで約12mm離れています。この「角膜からレンズまでの距離」が、角膜頂点間距離です。同じ度数のレンズでも、置かれる位置が変わると、目に対する矯正の働きが変わります。
近視を矯正するレンズは、目から離れるほど度数を弱く感じます。そのため、目から離れた位置にある眼鏡では、その分を補うためにコンタクトより強い度数になることが多いのです。「コンタクトのほうが弱い数字だから、矯正が足りない」とは限りません。レンズの位置を含めて、必要な強さが決まるということです。
なお、12mmは標準的な距離で、全員の眼鏡が必ずその位置にあるわけではありません。東海光学は、フレームや顔の形状によって距離が変わると説明しています。日本眼科医会も、眼鏡を掛ける位置によって矯正度数が変わることを案内しています。
度数はレンズの数字だけでなく、実際に掛けた状態と併せて考える必要があります。
同じ度数になる場合もある?近視が強いほど差が出やすい
眼鏡とコンタクトの度数が同じでも、それだけで処方がおかしいとはいえません。アキュビューの公式解説は、両者の度数について「必ずしも同じにはなるとは限りません」と説明しています。必ず別の数字にしなければならない、という意味ではありません。
東海光学によると、近視が強いほど、眼鏡とコンタクトの度数の違いは大きくなります。一方で、同じ度数でもほとんど見え方の違いを感じない人もいるとのこと。度数の差が小さいか大きいかだけで、見え方の良し悪しを決めることはできません。
東海光学の公式ブログには、執筆者本人が測定した例もあります。右目のコンタクトが−6.00Dだったのに対し、コンタクト装用時と近い見え方になった眼鏡は右目−6.75Dでした。これは個人差を前提とした一例で、誰でも−0.75Dを追加すればよいという換算ルールではありません。
度数と視力は別の数値。PWR・SPHと符号を読む

視力は、物を見る目の能力を数値化したものです。例えば視力検査では、Cの形をした視標の切れ目をどれくらい小さくても判別できるかを調べます。度数は、その視力を矯正するために必要なレンズの強さ。「視力0.1だから度数はこの値」と、正確に導き出せる関係ではありません。
コンタクトの球面度数は、メーカーや製品によってPWR、POWER、P、D、SPHなどと表示されます。眼鏡の処方箋ではSPHまたはSという表記が使われます。表記が違っても球面度数を示すことがありますが、眼鏡とコンタクトで同じ数値を使えるという意味ではありません。
| 表示 | 読み取れること |
|---|---|
| −の度数 | 近視用レンズの度数 |
| +の度数 | 遠視用レンズの度数 |
| ±0.00D | 度数が入っていない状態 |
| D | レンズの屈折力を表す単位、ジオプター |
| 数値の絶対値 | 大きいほど矯正する力が強い |
マイナスの数値は、数字の大小だけで見ると混乱しがちです。アキュビューが示す例では、−0.50Dより−1.00Dのほうが、より強い近視を矯正するレンズです。「強い・弱い」は符号を含めた数値の順番ではなく、ゼロからどれだけ離れているかで読みます。ただし、強い度数ほど自分によく合うわけではありません。
乱視があるときは、球面度数だけを比べない
乱視は、角膜や水晶体の形状などによって、目に入った光が網膜上の一点に集まらない屈折異常です。ものがぶれたり、ぼやけたりすることがあります。乱視の矯正を含む処方では、近視・遠視を表す球面度数に加え、乱視の強さと矯正する方向も見ます。
| 項目 | 意味 | 比べるときのポイント |
|---|---|---|
| PWR・SPH | 近視・遠視に関する球面度数 | この値だけで乱視矯正まで比較しない |
| CYL | 乱視を矯正する円柱度数 | 球面度数と別の項目として確認する |
| AXIS・AX | 円柱レンズの軸の方向を示す角度 | CYLと組み合わせて確認する |
Zoffは、コンタクトで乱視矯正をしていなくても、眼鏡では乱視矯正をする場合があると説明しています。そのため、両者のSPHだけを見て「同じ」「違う」と判断すると、処方全体の違いを見落とすことがあります。片方にCYLやAXISがある場合は、その項目も含めて確認しましょう。
乱視度数や軸も、眼鏡の数字をそのままコンタクトへ移せばよいとは判断できません。眼鏡はフレームにレンズが固定されていますが、乱視用ソフトコンタクトは目の上で矯正方向が安定している必要があります。眼科では、度数・軸の検査に加え、装用したレンズが回転していないかも確認します。
乱視用ソフトコンタクトで視界がぶれる場合、レンズが角膜の上で安定していない可能性があります。必要な対応は、円柱度数・円柱軸の再検査や、素材・デザインの見直しなど。近視の度数だけを強くする前に、眼科でどの項目が見え方に関わっているかを確かめることが大切です。
眼鏡とコンタクトで度数が違うときの換算・確認・使い分け
換算式は参考値。計算結果だけで購入しない
眼鏡の度数からコンタクトの度数の目安を計算する式はあります。アキュビューの公式解説で紹介されているのは、次の式です。ただし、同ページも計算は参考にとどめ、眼科医の処方に沿った度数を使うよう案内しています。
コンタクトの度数の目安=眼鏡の度数÷(1−0.012×眼鏡の度数)
0.012は、眼鏡から目までの距離を12mmとして計算するときの値です。実際の処方を決める式ではなく、距離による違いを考えるための参考です。
| 仮定した眼鏡の度数 | 距離12mmとして計算した目安 |
|---|---|
| −2.00D | 約−1.95D |
| −6.00D | 約−5.60D |
| +6.00D | 約+6.47D |
※球面度数を上の式に代入した仮定の計算例です。小数第2位に丸めています。購入するレンズの規格や、その度数が本人に適していることを示す表ではありません。
この例では、近視のマイナス度数はコンタクト側で絶対値が小さくなり、遠視のプラス度数は大きくなります。符号を落として数字だけを入力すると、別の結果になります。また、式は距離を12mmと仮定しているため、フレームや顔の形状によって距離が変わる実際の眼鏡を、すべて同じ条件で表せるわけではありません。
さらに、この計算だけでは乱視矯正の内容や、コンタクトを装用したときの適合までは決まりません。眼科では実際のレンズで視力やフィッティングを確認して度数を決めます。コンタクトから眼鏡を作る場合も、箱の数字や換算値だけで注文せず、眼鏡として測定する必要があります。
処方箋と箱を見比べるときは、左右・用途・規格を確認する

数値を比べるときは、最初にどちらの目の情報かを確認します。眼鏡の処方箋にあるRは右目、Lは左目のことです。続いて遠用か近用かを見ます。遠用は普段使いや遠くを見るため、近用は主に老眼用など近くを見るための度数です。用途が異なる欄を見比べていないかも、度数差を読む前に確かめたい点です。
コンタクトの度数は、外箱の側面や個包装のふたで確認できます。ただし、箱には度数以外の数字も並びます。BCやDIAを度数と取り違えないよう、数字の前に付いている項目名まで読みましょう。乱視用ではCYL・AXIS、遠近両用ではADDという項目もあります。
| 確認する項目 | 対象 | 表していること |
|---|---|---|
| SPH・S/PWRなど | 眼鏡・コンタクト | 球面度数 |
| BC | コンタクト | レンズ内側の曲がり具合を示す曲率半径 |
| DIA | コンタクト | レンズ自体の直径 |
| ADD | 遠近両用コンタクト | 近くを見るための加入度数 |
| PD | 眼鏡の処方箋 | 左右の黒目の中心間の距離。片眼ずつまたは両眼の値で記載 |
BCとDIAの単位はmmで、レンズの形や大きさに関する数値です。PWRが同じでも、それだけで目に合うかは分かりません。メニコンは、度数などが同じでも、メーカー・デザイン・素材によって見え方や装用感が異なると説明しています。度数を確認できたことと、別の製品へ変更できることは分けて考えましょう。
箱の表示は、現在使っているレンズの情報を確認する手掛かりです。目の状態やレンズのフィッティングは変わることがあるため、表示が分かるだけで今後の適合まで保証されるわけではありません。処方箋・指示書には製品名やメーカー名、規格、発行日、有効期限なども記載されます。
度数だけを抜き出さず、指示全体を見ることが大切です。
合う度数は実際に測定し、使う場面も伝える
眼鏡の度数を調べる方法には、眼科での検査と眼鏡店での視力測定があります。眼科では視力だけでなく、目の疾患がないかも確認してもらえます。Zoffは、初めて眼鏡を作る場合には、眼科で目の状態を詳しく診てもらい、処方箋を受け取る方法が安心だと案内しています。
コンタクトでは、眼科で検査・処方を受けます。機械で測る検査に加え、本人に見え方を聞きながら測定し、利用予定のレンズを実際に装用して確認します。数字を測るだけでなく、そのレンズを目にのせた状態で確かめる点が大切です。
アキュビューが紹介する流れでは、問診、検査、目の健康状態の診察を経て、トライアルレンズのフィッティングや視力を確認し、必要に応じて追加矯正を行って度数を決めます。その後に取り扱い指導や装用練習があります。ただし、検査の順番や内容は眼科によって異なる場合があります。
相談するときは、遠くを見る機会が多いのか、スマホや読書など手元を見る時間が長いのかも伝えましょう。メニコンは、個人差を考慮したうえで、生活スタイルによって適切な度数が変わる場合があると説明しています。
遠くがはっきり見える設定でも、手元を見るときにきつく感じ、疲れ目や頭痛などにつながる可能性があります。
だからといって、自宅用は一律に弱く、外出用は一律に強くすればよいわけではありません。使う場面と本人の見え方を眼科医に伝えて、適した度数を検討します。年齢や生活環境によって最適な度数は変わっていくため、以前の値を固定して考えず、定期的な検査で確かめましょう。
併用する眼鏡を用意し、見えにくさや痛みは度数差だけで片づけない

普段コンタクトを使っていても、眼鏡は必要です。レンズを入手できないときや、目のトラブルで装用できないときに切り替えられます。眼鏡をコンタクトと同じ数字にそろえることよりも、眼鏡として適した度数を確認しておくことが大切です。外出時も眼鏡を持ち歩いておくと、装用を中止した際に替えられます。
コンタクトには適切な装用時間があり、個人差があるため眼科医への確認が必要です。帰宅後に眼鏡へ替えるなど、指示された時間を超えない使い方をしましょう。装用中に目の疲れやゴロゴロ感などの違和感が出た場合も、無理に使い続けず、装用を中止して眼鏡に替えます。
見えにくさがあるときも、「眼鏡より度数が弱いから」と原因を決めつけないでください。メニコンは、レンズの素材・デザインによる違いのほか、加齢に伴う目の変化や、緑内障・白内障などの疾患によって見えづらさが生じる場合もあると説明しています。
見え方がぶれる場合は、自己判断で度数を変更せず、眼科医に相談しましょう。
充血・痛み・止まらない涙・多量の目やにが出たときは、すぐにコンタクトを外してください。外しても痛みが続く場合や、見え方に影響が出ている場合は、すぐに眼科を受診します。これは日本眼科医会の案内に基づく対応です。度数を調整して様子を見る場面ではありません。
症状がなくても、目の健康状態やフィッティングの確認は必要です。日本眼科医会は、症状が出たときだけ受診するのではなく、日頃から定期的に目を診てもらうよう案内しています。眼鏡とコンタクトで数字が違うこと自体を心配しすぎず、それぞれでの見え方と目の状態を確かめて使いましょう。
眼鏡とコンタクトの度数が違う理由と確認方法のまとめ
この記事のまとめです。
- 眼鏡とコンタクトは目からレンズまでの距離が違うため、必要な度数が異なる場合があります。
- 近視では眼鏡のほうが強い度数になることが一般的ですが、同じ度数でもほとんど見え方の差を感じない人もいます。
- 近視が強いほど度数差は大きくなりやすく、個人の測定例の差を全員に当てはめることはできません。
- 視力は目の見る能力、度数はレンズの矯正力です。一方の数値から他方を正確に導き出すことはできません。
- 近視用はマイナス、遠視用はプラスで表示され、数値の絶対値が大きいほど矯正する力が強くなります。
- 乱視がある場合は球面度数だけでなくCYL・AXISも確認し、乱視用ソフトコンタクトでは装用時の方向の安定性も検査します。
- 換算式は目と眼鏡の距離を12mmと仮定した参考値です。計算結果だけで購入・作製する度数を決めないでください。
- 処方箋と箱は左右・用途・項目名を確認して読みます。BCやDIA、製品の素材・デザインも適合に関わるため、度数の一致だけでは判断できません。
- 合う度数は実際に測定し、コンタクトでは装用して確認します。遠くを見る機会や手元を見る時間など、生活スタイルも伝えましょう。
- コンタクトを中止したときに替えられる眼鏡を用意し、装用時間を守ります。痛みなどの異常が出たら外し、痛みが続く場合や見え方に影響がある場合はすぐに眼科を受診してください。
- 見えにくさを度数差だけで片づけず、症状がなくても眼科医の指示に従って定期検査を受けましょう。
参考にした情報
- コンタクトレンズのPWR(パワー)とは?数値の見方について | コンタクトレンズのアキュビュー® 【公式】
- コンタクトレンズの「PWR」とは?「BC」などの用語との違いを解説 | コンタクトレンズのメニコン
- メガネとコンタクトレンズの度数は違う? 処方箋の用語も解説
- コンタクトレンズの度数でメガネは買えるの?メガネとコンタクトの度数の違い | 東海光学公式ブログ
- コンタクトレンズの度数の見方は?眼鏡の度数の違いと併用が必要な理由について |「めまもり」プロジェクト|アキュビュー®
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